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症例報告

慢性の下痢や嘔吐にはご注意を!

今回お話しさせていただくのは慢性的な嘔吐や下痢で食欲低下となってしまっていた猫ちゃんです。

当初は血液検査や画像診断で大きな異常はなく、慢性的な腸炎が疑われるかなといったところでした。飼い主さんと相談の上、まだ元気もあるし、ストレスもかかるからすぐに積極的な精密検査には進まないことになりました。

ですがその後、もっと食事を食べなくなってしまい、しばらくしたところで『肝リピドーシス』という病気になってしまいました。

『肝リピドーシス』とは脂肪肝のことで猫が栄養不良状態が長く続くとなってしまう病気です。

猫は食事を食べれないとすぐに体の脂肪をエネルギーとして使おうとするために全身から肝臓へ脂肪を導引します。肝臓は脂肪を燃焼させてエネルギーを作り出すのですが、だんだんと引っ張ってきた脂肪を捌けなくなり、脂肪が蓄積してしまいます。これが脂肪肝です。

この場合の一番の治療は『食事を食べさせること』です。

ちょっとかわいそうではありますが、鼻からカテーテルを入れてそこから液体色をゆっくりと入れていくことで治療していきます。

 

このこの場合も1週間ほどかけて状態を改善し、さらに貧血も進んでしまっていたので輸血もした上で、原因究明のための内視鏡検査に漕ぎ着けました。

結果はなんと『低グレードリンパ腫』!

すぐに内服の抗がん剤とステロイドを併用して治療を開始したところ、みるみる状態が良くなりご飯を食べれるようになりました。

いまでは嘘みたいに元気になりお家で幸せに暮らしてくれています。

たとえ元気はあっても、長期続く、下痢、吐き、食欲不振は重篤な病気の前触れかもしれません。様子を見ずにお早めに病院までご相談ください。

 

獣医師 桃崎